お酒を提供するお店では、どのような形態でも飲食店の営業許可が必要になります。
食品衛生法に基づいた営業許可で、主に調理場・トイレなどが衛生的かを調べられます。
所轄の保健所に申請をして、保健所担当者の現地調査もあります。
ここでは
①飲食店を営業する資格について
②飲食店を営業する場所について
③飲食店内の構造設備について
④必要書類について
紹介します。
また、個別の保健所にて独特の規制がある場合があるので、ご自身で手続きされる場合は所轄に保健所事前相談をお勧めします。
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①飲食店を営業する資格について
施設の衛生管理のため食品衛生責任者を選任することが、法令に規定されており、
食品衛生責任者の資格が必要です。
特別、調理士などの免許は必要なく、ほとんどの方は食品衛生責任者養成の講習を受講しての資格を取るのが多いと思います。
食品衛生責任者養成の講習は、各自治体が実施されているもので、
ネットなどで予約でき、1日講習を受けるだけでその日のうちに食品衛生責任者の資格が取得できます。(受講料は約10000円前後)
食品衛生責任者養成講習の注意点
- 講習を受けるには予約が1,2か月先になる場合もあるので注意が必要
- 飲食店許可申請時に講習が間に合わなくても、受けてくれる保健所があるので、その際は必ず保健所へ事前相談が必要
- 講習会は朝から夕方まであります。確認テストがあったりしますが、途中退室等しないかぎり、ほとんどの場合取得できます。
また、e-ラーニング型で受講できる自治体もあるのでチェックしてみてください。
そのほか食品衛生責任者には次の方がなることが出来ます。
食品衛生監視員又は食品衛生管理者になる資格要件を満たす者(医師、歯科医師、薬剤師、獣医師あるいは医学、歯学、薬学、獣医学、畜産学、水産学又は農芸化学の課程を修めて卒業した者等)
調理師、製菓衛生師、栄養士又は船舶料理士
と畜場法第7条に規定する衛生管理責任者若しくは同法第10条に規定する作業衛生責任者
食鳥処理衛生管理者になる資格を有する者
下記の場合にも欠格になってしまうので注意が必要です。
1:食品衛生法又は同法に基づく処分に違反して刑に処さられ、その執行を終わり、又は執行を
受けることがなくなった日から起算して2年を経過していない場合
2:食品衛生法第59条から第61条までの規定により許可を取り消され、その取消しの日から
起算して2年を経過していない場合
3:法人であって、その業務を行う役員のうちに1号、2号のいずれかに該当する方がいる場合
また、店舗の収容人数が30名以上場合、各防火管理者の資格が必要です。
(収容人数とは、座席数と従業員数の数)
甲種防火管理者
収容人員が30人以上、かつ延べ面積が300平方メートル以上の店舗の場合
乙種防火管理者
収容人員が30人以上、かつ延べ面積が300平方メートル未満の店舗の場合
こちらも該当する場合、講習会の受講で、取得が可能です。
②飲食店を営業する場所について
市街地なら基本的にはどこの地域でも営業可能ですが、
店の大きさなどや地方のほうだと制限がある場合があります。
ご自身で申請する場合、住所で用途地域を調べて(ネットで調べることが出来ます)
制限に該当するかチェックしてみてください。
用途地域と制限
制限のない地域
・近隣商業地域
・商業地域
・準工業地域
・第一種住居地域(3000㎡以下)
・第二種住居地域(10000㎡以下)
・準住居地域(10000㎡以下)
・工業地域(10000㎡以下)
・第一種低層住居専用地域
店舗兼用の住宅で、店舗部分の床面積が、50㎡以内かつ建築物の延べ面積の1/2未
満の飲食店
・第二種低層住居専用地域
2階以下かつ床面積の合計が150㎡以内の飲食店
・田園住居地域
2階以下かつ床面積の合計が500㎡以内の飲食店(地域の農産物を取扱う場合に限る)
※農産物を扱わないなら、2階以下かつ床面積の合計が150㎡以内の飲食店
・第一種中高層住居専用地域
2階以下かつ床面積の合計が500㎡以内の飲食店
・第二種中高層住居専用地域
当該用途に供する部分が2階以下かつ1,500㎡以下の場合に限り建築可能
営業できない区域
・工業専用区域
・市街化調整区域(一部例外あり)
③飲食店内の構造設備について
構造設備については、大まかに全国統一されています。
しかし、お店の形態や種類により必要な設備は変わってくるので、管轄の保健所に問い合わせて確認しておくことをお勧めします。
工事着工前であれば、内装の図面などを持って、事前に所轄の保健所にご相談ください。
食品衛生法基準条例に基づいて、施設基準をあげました。
大阪市の例ですが参考にして下さい。
給水設備
・水道水である
※水道水以外を使用する場合は、水質検査の実施及びその成績書が必要
手洗い設備
・調理場内に手洗い設備がある
※水栓は、洗浄後の手指の再汚染を防止できる構造が必要(レバー、足踏みペダル、センサーなど)
※※手で水を止めるようなハンドル式などはNG、居抜きの物件等だと、見落としがちなので注意
食品等保管設備
・食品等の種類に応じて、汚染の防止できる食品保管庫(扉付きなどが望ましい)などの保管設備がある
・冷凍・冷蔵庫がある ※温度計が必要
洗浄設備
・ 使用目的に応じた大きさの洗浄設備が必要な数ある(食品用、食器・器具用、下処理用など)
※料理の頻度や種類により2層式のシンクが必須ではなくなりましたが、1層式のシンクのときは確認をお勧めします。
・ 器具類の洗浄消毒のため、必要に応じて給湯その他の設備等がある
※給湯も同じく必須ではなくなりましたが、出来るだけ付けることをお勧めします。
調理場の構造、床面及び内壁の構造、排水設備
・ネズミ及び昆虫の侵入を防止できる設備がある
・十分な換気、照明設備がある
・床面、内壁及び天井は、清掃しやすい材質、構造である
・(施設の衛生管理のために床面及び内壁の清掃に水を流す必要がある場合)床面、内壁(腰張り)
は、不浸透性の材質で作られ、床面には十分な機能を有する排水溝などの排水設備がある
調理場の区画
・調理場は営業専用である(住居の台所との兼用は不可)
※調理場と客室の区画が明確でないなら、仕切りにカーテンは不可(ウエスタン、スイングドアなどが主流)
・作業工程を踏まえて施設設備が適切に配置されている
便所、更衣場所、清掃用具
・便所には、専用の手洗い設備がある ※共用の便所可
・ 更衣場所がある
・清掃用具を備えている
その他、営業の種類によって、追加で必要となる施設基準もあります。
また、取扱食品や営業形態に合わせて必要な設備があれば、適宜設けてください。
現地調査ではこれらの項目を検査されますので、ご不安なら事前に保健所に問い合わせることをお勧めします。
必要な書類について
- 営業許可申請書 1通
- 施設の構造・設備を示す図面(平面図) 2通
- 食品衛生責任者の資格を証するもの
- 水道直結でない場合水質検査証のコピー
- 法人の場合 登記事項証明書
※こちらは大阪の一例です。各所轄保健所に問い合わせまたはHPで確認ください。